サイエンスの香りがする日記

実体験や最新の科学技術をコミカルに綴ります。

老化が気になっても、僕らにはレーザーがある。

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諸行無常の響きありって感じだね。盛者必衰だよ。」

 

僕が最近老けてきたことを愚痴すると、知的ぶったフォローを入れてくる友達がいる。

 

たしかに変わらないものはない。だが僕は言いたい。平清盛は天下統一したりして、いい思いをしたからいいかもしれない。

 

でも僕は盛者でも何でもない!



最近、鏡を見るたびに、どうにかして老化を止められないかと考えてしまう。諸行無常とはいえ、老化を遅らせる事はできるのではないか。

 

特に気になるのは顔のシミ。シミは駄目だ。僕に何もポジティブなものを与えてくれない。

 

コンビニ店員の女性が目を合わせてくれないのも、会社の女性が僕の近くで鼻をつまむのも「全部シミのせいだ」と思っている。

 

そんな訳で、シミを無くす方法をネットで調べると、様々なシミ取りクリームが出てくる。でも、あんなのは焼け石にウォーターだ。全部効果は無い。僕の疑似科学アンテナがそう言っている。

 

本気でシミを無くすにはどうしたらいいか。僕は思い立った。



そうだ、レーザー治療、行こう。



義母がレーザー治療で足のシミを消していたのを思い出したのだ。足で消えるなら顔もきっと大丈夫だろう。思い立ったが吉日。早速予約して行ってきた。

 

都内某所。雑居ビルの4階にレーザー治療専門のクリニックはあった。受付で予約している旨を伝えると、手早く診察室に案内してもらった。

 

先生の話によると、レーザーでシミの原因であるメラニン色素を瞬間的に焼き切るらしい。治療中は、熱い油の粒が顔にかかる感覚とのこと。

 

僕の顔を天ぷらにするつもりなのか?

 

原理的に正しいのか疑問はあるし、痛いのは嫌だが、ここまで来たらやるしかない。覚悟を決めて、治療室に移動した。

 

部屋の真ん中に歯医者さんで見たような椅子があり、その周りにレーザー治療機器が並んでいた。

 

不安そうな僕を落ち着かせようと思ったのか、先生がラグビーの話を始めた。この日はラグビーW杯の日本対南アフリカ戦の前日だったのだ。

 

どうやら先生は根っからのラグビー好きのようで、怒涛のラグビートークが始まった。僕は全然興味ないんだが、、、

 

ラグビーの面白さを語りながら、先生は続けて言う。

 

「試合が気になって、ソワソワして仕事が手につかないですよね?」



それはダメだよ先生。



違う意味で僕もソワソワしてきてしまった。

それでも先生が熱心に語るので、僕も気持ちが高ぶってきた。

 

そう、レーザー治療という負けられない戦いがそこにはある!



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(出典:スクールウォーズ)

「老化に負けて悔しくないのか!」



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悔しいです!!!!




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(出典:スクールウォーズ)

「シミに勝ちたくないのか!」

 

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「勝ちたいです!!!」



気合いが入ったところで、いざ治療開始である。看護師さんが僕の目を隠した。レーザーが目に入らないようにだ。これが怖い。視界を塞がれると恐怖心が一層高まるのだ。



「それじゃあ、いきますよぉ」



レーザーを出す器具が僕の頬に当たる。



バチッ!!!



痛ぁぁぁい!!!



なんだこれ。すごい痛いじゃないか!



「次いきますよぉ」



バチッ!!!



痛ぁぁぁい!!

 

油がかかるって表現は適切だった。まさにそんな痛みが走る。



「いきますよぉ」



バチッ!!!

 

痛ぁぁぁい!!

 

先生、油はねてますぅ!!




「いきますよぉ」

 

バチッ!!!

 

痛ぁぁぁぁぁぁぁぁい!!

 

数分後



痛みに耐えてよく頑張った。初めて自分で自分を褒めてやりたい。そんな気持ちになった。

 

そして治療前にトイレに行っておいてホントによかった。行ってなかったら、シミと一緒に大人の尊厳まで失うところだった。

 

レーザー治療したところは何となく白くなっていた。この後、徐々に黒いカサブタになって、数日後に剥がれるらしい。

 

治療室を出て受付に行くと、今後のアフターケアの方法が書かれた紙を渡されて、良く読んでおいて下さいと言われた。

 

言われた通りじっくり読むと、大事な事が書いてあった。



「レーザー治療の効果の”8割”はお客様のアフターケアにかかっています。」



シミが消えなくても僕の責任ってこと?!



説明書には、さらに見逃せない一文が記載されていた。



「レーザ治療は“確率”された方法なのでご安心ください。」



確立されているのか、いないのか。



とても不安にさせる一文だ。確率的に失敗する事を主張している感じで怖い。もう治療してしまった僕にできる事は、必死にアフターケアをして成功確率を上げることだろう。頑張るしかない。



それから一週間経過。



予定通りカサブタが剥がれた。



すると、



なんと、




シミが消えたぁーーー!!!



さっぱり消えたぁーーー!!!



僕は絶対に負けられない戦いに勝ったのだ。老化というバケモノを押さえ込んだのだ。

 

僕は興奮した。

 

鏡の前で何度もシミが無いことを確認した。

 

家でも、職場でも、色んなところで戦果を自慢した。

 

先日行った美容室でも、髪を切ってもらっている間ずっとレーザーで老化をやっつけた自慢話をしてしまった。

 

すると、美容師さんはおもむろにこう言った。



「最近、髪が薄くなってきたね。」



えっ??。。。。。



To be continued.

 

 

 

 

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