サイエンスの香りがする日記

実体験や最新の科学技術をコミカルに綴ります。

怪しい論文に引っかかるのを防ぐためにできる、たった一つの秀逸な方法。

科学技術に関する論文は、事実を積み重ねていくものです。なので、当然ながらノンフィクションなはず。ところが、内情をよくよく見てみると、統計処理を偽ったり、そもそもデータが作り物だったりして、結論がフィクションになってる場合がしばしばあるのです。まぁ科学のダークサイドですね。


こういった科学の内情がScience Fictionsでは詳しく書かれています。


フィクション論文がブログやYouTubeで紹介されると、僕ら一般人の視界にも入ってきます。紹介する側がさらに結論を盛っちゃったりすると、真実から遠く離れた世界に行ってしまいます。


フィクションの世界で生きていくのも悪くないかもしれませんが、僕なんかはやっぱり真偽の怪しい情報にはひっかかりたくないなと。


ではどうすれば怪しい情報を選別できるでしょうか。何か良い方法はないものでしょうか。


一つの方法は、一次情報である論文を精読して、内容の真偽をきちんと確認することでしょう。


でも、これってよくよく考えると結構無理筋なんですよ。


ちょっと前に科学のダークサイドに堕ちた日本人がいましたね。オボちゃんこと小保方晴子さんです。STAP細胞でだいぶ話題になりました。


非常に簡単な方法で万能細胞を作れるという画期的な論文を発表しましたが、再現性が確認されず、論文の画像もオボちゃんのフォースで加工されたものでした。


でも一度は有名な論文誌に掲載されてるんですよ。つまり査読を通ってるわけです。一流の査読者でも見破れないのに、僕らが精読したところで怪しい点に気づけますかね。


話は少しずれますが、偶然にも、僕はオボちゃんの知り合いと飲む機会があったんですよ。それで、オボちゃんってどうだったの?と聞いてみたんですね。


そしたら、彼女にも本当のところはあった、と。


ふむふむ。論文全部が嘘ではなかったわけか。で、どこが?と聞いたわけです。すると、


おっぱいが大きいのは本当だ。


彼は自信満々で言うわけです。僕はこれを聞いて、光の速度で問いただしましたよ。


お前はちゃんと査読したんか、と。


まぁ、何が言いたいかっていうと、目の前に一次情報があってもその真偽を確認するのは簡単ではないということです。


僕は場末の3流研究者ですが、何回も査読をしたことはあります。もちろん論文のです。


正直言って、論文で示されているものが偽物かどうかなんて怪しんだことすらないです。


じゃあどうすれば怪しい情報を選別できるのかって言うと、Science Fictionsの中の非常に示唆的な一文があったんですよ。


言われれば当たり前ですが、忘れがちなとっても大事なことです。


“複雑な現象は多くの小さな影響で構成されている。”


例えば、学力や身長や性格や病気なんかの複雑な現象が、たった一つのパラメータで大きくコントロールされることは無いわけです。


無数のパラメータがちょっとずつ影響する。その無数の条件を固定化した上で、あるパラメータを変化させたら結果が大きく変わる。そういうことはあるでしょう。でも現実には、色んな条件が一緒に動いちゃうんですよ。


逆に言えば、これだけやれば劇的な効果があるという主張があったら、疑った方がいいでしょう。


〇〇するためのたった一つの方法、なんてタイトルの記事があったら眉唾ですわ。


ただこのスタンスも使い所やバランスが大事です。


ネット上のWEB記事なんかにはこのスタンスで良いと思います。一方で、会社の若手の提案に対して、いつもこんな態度でいたら、なんでも批判する老害になっちゃいますから。


老害化しちゃうのと似た話ですが、このスタンスにはネガティブな面があります。


本当にすごい発見を見逃しちゃうことです。


例えば、iPS細胞。たった4つの遺伝子を導入するだけで、iPS細胞を作れたわけです。こういう凄い発見も、怪しいと判断しちゃうことになります。


でもですよ。こう言うと元も子もないのですが、iPS細胞みたいな大発見をいの一番に知る必要があるのかと。


結局はノーベル賞を取って、世界中で認められたわけです。そこで情報をアップデートすれば十分じゃないですかね。僕ら一般人は。


「ぼくがかんがえたさいきょうの〇〇」に引っかかるリスクを取るより、「世界中で有効性が検証された〇〇」を発見から数年か10年か遅れて取り入れる方が有意義だと思うのです。


というわけで、最新の技術情報に触れた時、小さなことで複雑な事象をコントロールしようとしていたら話半分で捉えておいて、一方で、歴史の淘汰を超えてきた技術情報は積極的に取り入れていくのが良いスタンスじゃないですかね。

 

 

【参考文献】

スチュアート・リッチー、Science Fictions あなたが知らない科学の真実

 

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