サイエンスの香りがする日記

実体験や最新の科学技術をコミカルに綴ります。

意外と知られてない「運動しても痩せない原因」と「運動しなければならない理由」


痩せたいというのは多くの人が思っていて、“ぼくがかんがえたさいきょうのダイエット法”なんてのが巷に溢れています。でも、そんなのを見るよりは、最新の研究成果を見る方がよいですね。そこにはとても重要なことが2つ書いてありました。


ひとつ目は、「運動しても痩せない」です。


そんなはずない。そう思う人が多いでしょう。僕だって、勇者ヒンメルならダイエットのために毎日運動する、と信じてなるべく運動するように努力してきました。


ダイエット目的で運動する人は、きっと以下のようなモデルを考えているでしょう。


【痩せるための不等式】

一日の食事で摂取したカロリー < 一日の消費カロリー = 体の基礎的な維持に必要なカロリー + 運動で消費するカロリー


食事で摂取したカロリーより、消費カロリーが多ければ痩せるはずで、運動すればその消費カロリーを増やせる。


何となく合っていそうな感じがしますよね。


ところが、そうはならないのです。


最新の研究によれば、いくら運動しても、一日の消費カロリーはほとんど増えていきません。


ジムに行って、たくさん走って、汗を流して、めっちゃ痩せる気がするわぁ、などと言っている人もいるでしょうが、気のせいです。一日の消費カロリーは増えていません。


いや、誤解のないように言っておくと、運動によって、たしかにその分のカロリーは消費してるんですよ。ということは?


運動以外での消費カロリーがその分減っているのです。

 

ここで、最新の研究でわかってきたふたつ目の発見です。


「運動すると健康になる。」


そんなの知ってるよ!と言いたくなるかもしれません。でも、運動するとなぜ健康になるかの説明は簡単ではないですよね。


痩せるための不等式に、一日の消費カロリーは、体の維持に必要な分と運動の消費カロリーの合算として書きましたね。これは正しくなくて、もう一つ、体の中の“不必要”な活動による消費が加わります。


不必要な活動の代表例は炎症です。炎症は様々な疾患の原因になりますね。


では、なぜ不必要な活動が日常的に体内で行われてしまうのか。


僕たちの身体のメカニズムは、狩猟採取時代から大きく変化していません。当時は、獲物を捕まえるために何キロも歩きつづけることが普通だったわけで、運動量も消費カロリーも現代よりずっと多いわけです。


実は僕たちの身体はその消費カロリーを常時維持するように出来上がっているのです。それなのに現代人はリモートワークで、Netflixしながら、Uber eatsしちゃっているので全然運動しない。


例えば3000キロカロリー使うように身体ができているのに、2000キロカロリーしか使えない。そうなると使い先に困った1000キロカロリーが変なところにいっちゃってるわけです。


お金のアナロジーで考えれば、年度末に余った予算で無駄なもの買っちゃったり、余ったお金でパパ活して寿司屋で喧嘩したりみんなするじゃないですか。あれですよ。


運動するというのは、この不必要な活動へまわっていたカロリーを消費することになるわけです。運動の重要性が分かりますね。


運動しても痩せないけど、運動するのは大事なのです。


そんなわけで、勇者ヒンメルなら‘’健康”のために運動する、と唱えながら、皆さんも運動しましょう。

 

【参考文献】

ハーマン・ポンツァー、運動しても痩せないのはなぜか: 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」

 

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