モテたい。
これは男性の根源的欲求でしょう。この欲求をくすぐったのか、ツイッターではモテるネックレスなるものがバズっていました。
この様子を見ていて僕はふと思い出したのです。友人である渡辺くんのことを。
これは僕がまだ会社の男子寮にいた頃の話です。
寮には共同の風呂があって、そこには大きな浴槽がありました。毎日温泉に来ているみたいで、とても楽しかったです。
ある日の事。いつもの様にお風呂に入ろうと風呂場の扉を開けると、目の前に立っていたのは、
裸にネックレスの渡辺くんでした。
えぇぇぇ!!僕はとてもびっくりしました。裸にネックレスをしている人なんて、志村けん以外に見た事がなかったからです。
僕は思わず、なんでネックレスなんかしてるんだよ!?と聞いてしまいました。
「彼女が似合うって言うから。。。」
え!?彼女!!!???
当時僕は彼女がおらず、見た目がイマイチな渡辺くんに彼女がいると聞いて狼狽しました。
いつの間に彼女なんて出来たんだ?震える声で僕は質問しました。
「こないだ駅前で出会って、、、」
なにぃぃぃ!!お前その顔でナンパしたのか!!??
と思わず口から出そうになりましたが、ぐっと飲み込みました。
その後、渡辺くんから彼女がどれほど可愛く、どれほど性格が良いかを聞かされる羽目に。だんだん話を聞いているうちに、渡辺くんの顔でナンパできるなら僕も出来るのではないか。そう思えてきたのです。そこで、軍門に下る悔しさを押し殺して、何て言って声をかけたのか聞いてみたのです。
「彼女の方から声をかけてきたんだ。」
なにぃぃぃ!!お前その顔で逆ナンされたのか!!??
と思わず口から出そうになりましたが、ぐっと飲み込みました。
なんてこった。僕と同じランク、もしくはちょい下くらいにいると思っていた渡辺くんは
遥か上空にいたのです。
さらに渡辺くんは続けます。
「彼女がオレを友達に紹介したいって。。。」
おいおい。付き合ってすぐに友達に紹介したいって、どれほど彼女は渡辺くんを好きなんだ。
やれやれと思いながら、僕はもう一度質問しました。彼女は何て言って声かけてきたのかと。
「私の良く行くお店に一緒に行かないかって」
ほうほう。なるほど。それでそれで?
「付いて行ってみたら、ジュエリーショップだったんだ。」
は!!??
「このネックレスが似合うよって、付けたらカッコイイよって言われたから買ったんだ。似合ってるだろ??」
それ彼女じゃなくて、ただの営業ですからーーー!!!
僕がいくら言っても渡辺くんは信じません。ジュエリーショップの後に一緒にカフェに行っただの、毎日LINEしてるだの言うのです。
なんとか渡辺くんを恐ろしい沼から救ってやらなければと思いながら、僕はとても聞きづらい質問をしなきゃいけない事に気づきました。
彼女の友達って何してる人か聞いた??
「不動産屋らしい」
早くその彼女と別れてーーーーー!!!!!
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