サイエンスの香りがする日記

実体験や最新の科学技術をコミカルに綴ります。

カネ喰いロッカーと誠実なパパ

 

8月15日。気温35℃の終戦記念日だ。


シューセンって何それ?シュークリームの仲間?くらいの感覚の息子と娘を連れて近くの市営プールへ行くことに。


コロナ禍が始まってから、もう3年くらいはプールに行ってない。それくらい久しぶりだから、子供も大人もワクワクしながら車を走らせた(水着女子に期待してワクワクしているわけでは決してない)。


こんだけ暑いから、みんなプールに行きたがって駐車場も満杯かな?と不安に思ったけど、行ってみたらガラガラ。むしろプールが倒産しなければいいな、なんて思うくらいだ。まぁ市営だからきっと大丈夫だろう。


入場料を払って、まずはロッカーでお着替え。ロッカーに来るのも久しぶりで、何やら懐かしさを感じる。


ここのロッカーは100円で有料だけど、使い終わったら100円が戻ってくる。良心的だ。


水着に着替え、服をロッカーに閉まって鍵をかけたところで息子が、


「靴を入れ忘れたぁ!」


おいおい。


まぁ、いいさ。ここのロッカーは100円が戻ってくる。


鍵をロッカーに刺して、ガチャ!


。。。あれ?


ガチャガチャ!


あれ?。。。ロッカーは開いたのに、100円玉が出てこない。


ガチャガチャ!


。。。全然良心的じゃねぇ!!売上低迷の影響か?!


ガチャガチャ!


いくら鍵を回しても100円が返ってこないのだ。


このカネ喰いロッカーがぁ!!


ガチャガチャ!


受付のお兄さんにお願いすれば取ってくれるかもしれない。でも、そこまで戻るのは面倒くさい。


この場で、ロッカーからどうやって100円を取り戻そうか。僕は脳みそをフル回転して考えた。


結論は、「叩く!」


映らないテレビは叩け。100円を戻さないロッカーも叩けである。


ドンドンドン!!


ドンドンドン!!


しかし無反応。。。


くそぉ。


100円を返すまで、終戦しねぇからなぁ!!


ドンドンドン!!


ドンドンドン!!


ドンドンドン!!

 

チャリーーン!


100円戻ってきたぁ!!


僕の爆撃のような連続パンチに根を上げたのか、無事に100円玉がロッカーから出てきたのだ。


さらに、その100円玉をロッカーから取り出すと、

 

チャリーーン!!

 

もう1枚100円出てきたぁ!!

 

ヤッホーい!!賠償金ゲットーーー!!!

 

このロッカー、意外と可愛げがあるじゃねぇか。


これでプール帰りにアイスを食べてやるぜぇ。グヘヘへ。


僕は思わずほくそ笑んだ。


そんな想像をしているところで、ぱっと息子と目が合った。


一連の僕の行動を、息子はキョトンとした顔でずっと見つめていたのだ。


うぅ、、この光景は教育上、良くないのでは。。


このままでは、今日の夏休みの絵日記が、カネ喰いロッカーではなく、ネコババ父さんになってしまう。


僕は正気を取り戻し、


「この100円は帰りに受付のお兄さんに返そうね。」


僕は息子に笑顔で話しかけた。


教育というのは、まずはやって見せないといけない。お行儀良くしなさいと叱る前に、誠実なパパの行動を見せてやることが大事なのだ。


結局、その後2時間くらいプールを楽しみ、帰りがけに受付で、


「ロッカーから100円がもう1枚出てきたので、お返しします。」


僕は誠実な大人の姿勢を息子に見せてあげたのだ。


このとき、僕は偉人の名言を頭に浮かべていた。あるべき教育の姿である。

 

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」


大日本帝国海軍 連合艦隊司令長官

山本五十六 

 

 

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